所定外労働の制限を請求した従業員に対する固定残業代の支払を停止することは、不利益変更に該当する可能性がありますか?
社会保険労務士リーガルオフィス

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就業規則の定めによっては、所定外労働の制限を請求した労働者に対して固定残業代を支払わないことが労働条件の不利益変更に該当する可能性があります。
たとえば固定残業代の支給要件として、「時間外労働が見込まれること」などの定義がある場合、時間外労働が見込まれない期間について固定残業代の支給を停止し得ます。
しかしこのような定義がされていない場合に固定残業代の支給を止めるためには、就業規則の変更による労働契約の内容変更が必要になり、この変更が不利益変更に該当する可能性があります。
不利益変更を有効なものとするには、原則として労働者との合意が必要です。
そしてこの合意は、労働者の自由な意思による合意と認めるに足りる客観的事情が必要です。
不利益変更に対する労働者の合意について判例は、「変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく、当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容および程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯およびその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供または説明の内容等に照らして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべきものと解するのが相当」とし、合意の有効性について慎重に判断しています。
一方、労働者の自由な意思による合意が得られない場合に不利益変更が有効なものとなるには、就業規則の変更について以下の要件を満たしている必要があります。
・変更後の就業規則を労働者に周知させていること
・就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合などとの交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものである
どちらにせよ固定残業代の減額を行うにあたっては、事前に労働者に対する丁寧な説明、意見聴取、反対意見に対する対応を十分な時間をかけて行い、合意形成を目指す必要があると考えられます。
根拠法令・参考情報
労働契約法 第9条(就業規則による労働契約の内容の変更)
労働契約法 第10条
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